平成26年7月20日、13:00~14:30まで、NHK文化センター 札幌教室にて開催された。
途中休憩をはさんで、13:30頃まで椅子坐禅。その後、約30分、写経をする。
つづいて、蓮昌庵堀井妙泉老禅子の講話。今回の題は、「生き甲斐について」
法華経に「冥キヨリ冥キニ入リテ永ク仏名ヲ聞カズ」とある。冥いところより生まれ出て、やがて冥いところへ還る迄の永い人生を、如何に生きるべきか? と人は考えるものだが、仏名(真理)に出会うのは難しいものである。
人間の始まりは百三十七億年前のビッグバンにさかのぼる。生命は一貫して二つの原理によって存在してきた。一つは、代謝(新陳代謝)、もう一つは、コミュニケーション。
アメリカのオーウェン・ラブジョイ博士の「プレゼント仮説」というのがある。直立二足歩行になり、手が使えるようになると、オスはメスに木の実などをプレゼントし、そういうオスがメスに好かれ、子孫を残せるようになった。利己的な目的が利他的行為で実現される。先人はこのように他人に親切にすることを学んだと言える。
また、クリスティン・ホークス(人類学者)は「おばあさん仮説」を唱えた。人以外の生物は生殖年齢を過ぎると死んでしまうが、人間の女性は長生きで元気ハツラツとしている。これは、未熟な状態で生まれてくる人間の子どもの育児を助けるため。おじいさんはおばあさんに比べて平均寿命が短いが、これは若い世代の面倒を見るということがあまりなかったからではないか。
これらのことから、人は自分のためだけではなく、他のために生きる動物であるということがわかる。自分の存在が世の中の役に立っていると感じられることは生き甲斐を与える。
いかなるものも相互に関連し存在している。
「おかげさまで助かります」
これを形にすると合掌になる。禅では、合掌の精神を詳しく説いている。その話は、また別の機会に。ということで話を終えられる。
(参加者 男性1名 女性3名 計4名)
追記)この講座の初回から参加されている女性の方は、寝る時など、時々数息観を実修しているとのことでした。
芙蓉 拝